「ステロイド外用薬」について

2013年1月29日

ステロイド外用薬が使われて60年経ちました。

ステロイド外用薬は主に皮膚炎に使います。わが国ではステロイド外用薬は5ランクに分類されています(図1)。さらにステロイド外用薬の体の場所別に吸収の程度を図2に示しました。

このようにステロイド外用薬は皮膚炎の重症度や場所によって皮膚科専門医が強さを選択します。ステロイド外用薬の副作用は塗った場所だけの副作用(皮膚が薄くなり血管が浮き出る、ニキビ、毛深くなるなど)で飲み薬のステロイドと違い内臓の副作用や顔がむくんだりはしません。また塗った場所だけの副作用もステロイド外用薬を塗り止めれば治ります。

更に皆さんが心配されている事についても説明します。
①ステロイド外用薬を使うことで皮膚が黒くなることはありません。これは炎症後の色素沈着といい、ステロイド外用薬の副作用ではなく皮膚は皮膚炎のあとは一時的に黒くなりますが、陽に焼かなければ数ヶ月で元に戻ります。
②ステロイド外用薬を止めることで皮膚炎のリバウンドが起こることはありません。一般には皮膚炎の治療が不十分なときに皮膚炎が悪化することで多いです。

皮膚科専門医がステロイド外用薬を上手に使い皮膚炎を治せばステロイド外用薬を止められます。実際に長い期間、ステロイド外用薬を使うアトピー性皮膚炎での半年間の各年齢、場所別のステロイド外用薬の量(表1)とその際の副作用の発現頻度(表2)を示します。このように長期間、ステロイド外用薬を使うアトピー性皮膚炎でも軽くて元に戻る副作用しか起きないことが科学的に証明されています。

今、患者さんには塗る量の目安としてフィンガーチップユニット法を指導しています(図3)。このように皮膚炎にはステロイド外用薬を使うことの専門である皮膚科専門医が使えばステロイド外用薬は安心して使用できるお薬です。

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